2016-01-01から1年間の記事一覧

連城三紀彦『愛情の限界』

パズル色が強いように思う。けれども、罠と計算と騙し合いの連続展開であることは、連城の恋愛小説の傾向ともほぼ一致する。 連城作品において嘘は矛盾ではなく、むしろそれを通して真実(もしくは恋)を書くツールだと思う。

紅玉いづき『現代詩人探偵』

詩を書くこと、それをアイデンティティとして生きていくことの業と青春小説としての悲しみが溶け合っていた。趣味でですが短歌を詠んでいるので刺さるところがたくさん……。 赤えんぴつを持って、傍線を引きながらまた読みたい。

クリスチア・ブランド『招かれざる客たちのビュッフェ』

短編のページ数の中で幾度も行われる読者との駆け引き、結末へ至るまでのプロットの運び、そして「ジェミニー・クリケット事件」の緻密さが良かった! 収録作では「婚姻飛翔」も好きです。

文藝春秋社『Love Letters』

皆川博子のラブレター(ショートショート?)を読めるとのことで購入。文の隙間から滲み出ている、呪いのような思慕がたまらないです。 恋文の他に親への手紙やファンレターの体裁のものもあり、どれも言葉ひとつひとつにこめられた濃厚な愛を拾ってしまうから…

カーター・ディクスン『貴婦人として死す』

記録再開すると言いながら中山可穂再読マラソンしててミステリ読んでなかった……。

佐々木丸美『雪の断章』

もう何度目になるか分からない再読了。 私にとっての思慕の定義はこの作品であると言っても過言ではない。

ダフネ・デュ・モーリア「レイチェル」

養父の未亡人に惹かれる青年の破滅の物語。 静かな場面とサスペンスフルな場面とのギャップも面白く一気に読めます。文章も綺麗だったので翻訳家さんの名前を覚えておこう。

伊坂幸太郎「残り全部バケーション」

「検問」だけは以前別のアンソロジーで読んだことがありました。作風が移行していた頃、もう一度伊坂の書く凝ったミステリを読みたいと思うようになったきっかけの短編です。 全体における伏線の忍ばせ方や登場人物同士及び読者との駆け引きは、大技でこそな…

更新をサボりすぎたのでここから記録再開します。