- 作者: 西澤保彦
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2001/11
- メディア: 新書
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最終的な場面に行くまでに幾つかの小さな事件とその謎解きが置かれているので、同じ位厚い長編、例えば麻耶雄嵩「鴉」なんかよりもよっぽど濃いです。
「小さい」と言っても「全体」に対して便宜的に言っただけで、ドアに挟まれる小石の謎なんて随分な長さです。
惜しみなく(あったかも知れませんが)振舞われるそれらの中に出てきたふとした言葉やロジックも、後になって活用されるようになると来れば、「こういうの読みたかったんだよ!」。いや、凄すぎるぞ。
また、タックが語る一大サーガは、一般の文学(小説ではなく、あえて文学)として通用して良いくらいに重いのですが、タカチだけに向き合った朝のパティオの雰囲気がむしろ爽やかで、他のシーンよりも読んでて気分良かったかも。終わりには救済されているし、「ミステリって、こんなことも出来るんだよ」っていう全てが示されていると思う。
ああ、なんか「タック」と「タカチ」が遠くなった感じ。
短編集は出てるけど、長編で続きが出る日は来るのか……?