引用

ジャニーズ系衣装は、王子様イメージと「恥ずかしくないのか」との反発的見なし――双方を強める役割をもっています。ジャニーズ系台頭期は、自作自演ロック(男集団)定着の時期でもありました。ジャニーズ系に対する「本物のミュージシャンではない」「踊るだけ」などの反発は、傍らにロックの「音楽+(自己)表現+男」像があるがゆえに強く噴出するといえます。
バンド形態のジャニーズ系・TOKIOはデビュー当時から「真のジャニーズ」でも「本物のロック」でもないと見なされてきました。彼らはテレビで、米作りなどの自足生活をします。番組でしばしば<男たち>という語が使われますが、ジャニーズ系とロック両方にとっての彼らの歌の「偽物」性が裏から支える形で、歌以外での場での<男たち>の姿が「自然」「本物」と受けとめられます。このように「音楽+性」の絡みの中で、衝突する部分もはらみながら一定の方向を持つ<男たち>イメージが作られ続けてています。


北川純子「ジャニーズ、モーニング娘。に見る男/女の世界」<ジェンダーがわかる本>2002年、「AERA Mook」91頁