大山誠一郎「密室蒐集家」

密室蒐集家 (ミステリー・リーグ)

密室蒐集家 (ミステリー・リーグ)

テーマとしては「少年と少女の密室」みたいなのは好みですが、自分が密室のホワイにあまり興味がないことは、一応述べておきたいと思います。


密室を作る理由とは、密室の“外”の出来事ともいえると思うんです。だから私は、個人的な感覚ですが「なぜ密室を作ったのか」というテーマは必ずしも「密室もの」に含まれるとは考えておらず、「密室蒐集家」もこのパターンではないかというのが正直な感想。
ハウダニットでなければ、とも思っていないのですが、「密室蒐集家」の収録作はある意味、開きっぱなしだと思うんですよ。密室を作る理由からアプローチしていく「理由ありの密室」を除いては、アリバイ崩しなり意外な犯人なり、密室それ自体の必然性がそれほど重要ではなく、またその必然性が保証されているのかも疑問といえば疑問。