連城三紀彦氏について

癌だとは伺っていました。
22日朝に訃報を知り、信じられない気持ちで、案外普通に仕事を終えてから図書館に行くと、
未読だった連城三紀彦の本を予約しようとした用紙を職員さんが見て、
「この方、亡くなったんですよね」
本当に、もういらっしゃらないんですね。
もう、新刊を読むことはないんですね。


好きな作家さんで鬼籍に入られている方はいても、同時代の人が亡くなったことがこれほど寂しいと感じたのは、おそらく肉親を除いてはありません。


立ち寄った書店の棚の前で、初めて脚がすくんだ。
仮に未発表の作品、書籍化されなかった作品がまとめられたり、復刊されることがあったとしても、ここに新作が並ぶことはない。


教科書のような美しい文章、奇想と逆説、トリッキーな作風が好きでした。
短編のミステリを中心に読んできた自分には、大きな声では言えませんがまだまだ半分程が未読のままです。「瓦斯灯」も「流れ星と遊んだころ」も「造花の蜜」も、これから読みます。
これからも読んでいきます。
ページを開けば、そこで会える。語り合えると信じています。


眠りの中ではどうか安らかに。
哀悼の意と、敬慕をこめて。