連城三紀彦「夜よ鼠たちのために」

夜よ鼠たちのために―連城三紀彦傑作推理コレクション (ハルキ文庫)

もう話すのが勿体無い。作り込んだキャラクター/人間関係を、鮮やかに、残酷に叩き潰す作品群。初期連城三紀彦の短編読むと、ミステリ好きで良かったと思う。ミステリとして読めることが幸福です。
特に好きなのが「夜よ鼠たちのために」「代役」なんですが、この二作は人物造形の良さも際立っていると思います。トリックの性質上、中盤までにキャラクターを完成させないとサプライズにはならない訳だから。
宵待草夜情といい、この絶望感に真に打ちのめされるのは男性だろう……「代役」は板の上の人に思うところのある人間としても、ズシッときた。サプライズとしては「二重生活」の方が成功していると思うけど。連城の短編でかなり好きな作品のひとつです。