- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2014/03/20
- メディア: 単行本
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「夜警」「死人宿」と表題作が抜きん出ていますが、メインの動機は中盤までに割れるものの最後までまとめ方の美しい「柘榴」も良かったです。
表題作は明らかに連城三紀彦を意識したオマージュ的作品なのですが、米澤が直近にその名前を挙げた文章について、以下に触れたいと思います。
道尾秀介「カササギたちの四季」解説より
時期をほぼ同じくして刊行された文庫版の解説を、米澤穂信が書いています。
「カササギたちの四季」本編の見どころ、道尾秀介の作家性を都筑道夫を絡めたエピソードを入り口として説明するスマートさが優れていますが、最後の3行に注目してみましょう。
かつて私は連城三紀彦の小説を読み、ミステリであることは小説としての何かを諦めなければならないことを意味しない、と思った。
いま道尾秀介を読み、同じことを再び確信している。
(光文社文庫315頁)
この文章、は米澤本人の創作姿勢・目標でもあると読み取れます。
とすれば、これを実践したものこそが「満願」だと考えられます。
連城をはじめ、米澤穂信が読んできたミステリ、そしてミステリから受け取ったもの、これから広げていくであろうもっと大きな、彼が本格ミステリに抱く、そして書くべき、おおげさにいえば希望がそこに集約されていると思うとか、聞き流して下さいね。
これからも、私は読んでいけることを楽しみにしています。