相沢沙呼「スキュラ&カリュブディス 死の口吻」

連続変死事件を追う異形の少女×少女が少女を思う気持ちの強さ×伝奇という相沢流サスペンスが楽しいです。エログロと評判ですが、グロというよりは痛みがもたらす恍惚が書かれていると思うので個人的にはそんなに酷いものではないかと。


また、ねむりが楓を慕う心の描写がとても良かったです。
相沢沙呼の書く文章で抜きん出ていると思うのは。

  1. 10代ならあるだろうという特別さを感じる相手への自己愛を含んだ憧れ
  2. 少女が少女を思う気持ちの描写

だと思っています。
ねむりの楓への気持ちは、死を望む異形の自分にとって虚しいことと知っていながら、一緒に生きていたいと思う強さで運命に抗おうとするところが良いですね。伝奇ロマンはこうこなくっちゃね。