北山猛邦「オルゴーリェンヌ」

海面が上昇し、半廃墟となった海墟で起こる連続殺人事件。孤島、館、そして無数のオルゴールに彩られた犯罪のホワイダニットが大きな目玉であり、その動機は前作よりも優れていると思いました。
また探偵譚としては、連続殺人事件を通してエノ、クリスはこの世界における自らの存在意義の危機に直面します。当然それは彼らには厳しいものであり、しかし成長途上の少年であるが故にそれでも生きていくことが出来、特に心を失いかけているクリスにとってどのようなものであったかが面白い点です。


北山作品における少年ジェンダーは、その先の目的が何であれ、生きていくことに向かっているのが良いですね。少女の刹那的な在り方と比較するのも面白そうです。