芦辺拓「少女探偵は帝都を駆ける」

少女探偵は帝都を駆ける (講談社ノベルス)

少女探偵は帝都を駆ける (講談社ノベルス)

短編ならではの奇想が光る短編集。
でも。

でもね、私は女の子で、あなたもそうです。ほかのみんなもね。そして、みんなもうすぐそうではなくなる。したい勉強もしとない勉強も自由にできて、お望みのままに本を読んだり、お芝居や映画を見れるなんてわけには、きっと行かへんようになる。とりわけこんな風に遠い遠いところまで旅し、いろんなことを吸収する機会は、もうめったに回ってくることはないでしょう。
p.298

去年の冬、中高の6年間やっていたオーケストラの演奏会を聞きにいきました。立派になった後輩たちの晴れ姿を見ながら、学校での出来事、部室での出来事、卒業してから今までの出来事、妙にいろんなことが頭の中を駆け巡っていました。
いつまでも夢の中にいられるような気がして、血の1滴まで生きていた高校生の頃とは変わってしまった。
だからこそ、まだその中にいる少女たちが愛おしくて仕方ないのです。