連城三紀彦「恋文のおんなたち」

執筆や家族関係に関するエッセイ、対談、5つの掌編を収録した本。
手紙についての章で悲鳴をあげました。

女性、とりわけ若い女性は、手紙の文字では皆さん美人顔である。口紅でも塗るように自分の気持ちに化粧して書かれるか、読んでいて快いものである。(引用者中略)人は文字で語るとき、本音を少しでも美しく装い、ペンに夢を上乗せして書くようである。


「初夢来信」 連城三紀彦「恋文のおんなたち」文春文庫74頁より

いま自分がコンスタントに書く手紙というとファンレターなんですけどね……


掌編も主として夫婦関係を扱った作品で、特に「冬のコスモス」が良かったです。