ピーター・トレメイン「蜘蛛の巣」上下

蜘蛛の巣 上 (創元推理文庫)

蜘蛛の巣 上 (創元推理文庫)

蜘蛛の巣 下 (創元推理文庫)

蜘蛛の巣 下 (創元推理文庫)

アイルランドの小さなクランで起こった殺人事件を調査さするよう命じられたフィデルマとエイダルフ。族長一族の権利争いや聾唖の容疑者、厳しい信仰を持つ神父などに、フィデルマの知性と法の精神はどう立ち向かうのか。
まるで横溝正史のような、非常に日本人好みのクラシックなミステリの要素が満載です。


キャラクター/フィデルマの成長譚としては、古代アイルランドの信仰(キリスト教にとっては異教)を持つ隠者が登場するのが非常に魅力的です。助言を与えたり、エイダルフと論争を繰り広げたり。
この隠者がいることで、弁護士であり裁判官であるフィデルマがどのように法を解釈し、また人を裁くのかという面が強調されています。
こんなに知的で決断力と勇気に溢れ、選択の時をとうに過ぎ経験も積んでいるいい大人なのに相変わらずエイダルフとはラブコメ状態なのもフィデルマさんの面白いところです。