チャーリー・N・ホームバーグ『紙の魔術師』三部作

しばらく前にジャケ買いした『紙の魔術師』を読んだ。
舞台は20世紀初頭、魔術が高等技術とされた英国。この世界の魔術師は様々な材料からひとつと契約を交わし自在に操る。
魔術学校を主席で卒業した主人公・シオニーは、不本意なことに自らが望んでいなかった紙の魔術を実習することを決められ、折り師エメリー・セインに師事する。セイン師の気遣いや教育の甲斐あって折り師の修行に積極的になってきた頃、急な来訪者に襲われたセイン師を救うべくシオニーはたったひとり紙飛行機で屋敷を飛び出した――。


可愛らしい表紙から少女向けファンタジーだと思って読み始めたのだが、この時点で私には違う意味で刺さりまくっていた。師弟かつ後見人というものに目がないのだ。
この後はというと、邪悪な魔術師にえぐりだされたセイン師の心臓の中を冒険するというなかなかの急展開となる。何度も命を狙われながら、戦いを通してシオニーとエメリーの距離は縮まり、師弟は宿敵を追いながら恋に落ちていくのである。


結構このシリーズ、血みどろだし人も死ぬ。
しかしジュブナイルやファンタジー、何より「魔法使いの弟子」が好きな人には是非おすすめしたい。
もし気に入ってもらえたら、三部作の最後を飾る『真実の魔術師』で、二人の恋と魔術の集大成を見届けてほしい。