バチカン奇跡調査官シリーズを読みました

『悪魔達の宴』までの感想はこちら。
liargirl.hatenablog.com


10月初旬には既刊すべて読了していましたが、もう一度最初から読んだり「ロベルトの女が干物であってはいけない」と思って顔タイプ診断を受け直したりで遅くなりました……。
読んでいた一ヶ月ずっと睡眠時間を犠牲にしていてフライトオアファイトの状態だったらしく、食生活がガタガタになってしまったので現在立て直すべく頑張っています。
顔タイプ診断の話はまた書けたら書きます。ソフトエレガント/フレッシュになりました。


さて、シリーズの後半は黒幕がより目立つようになり、短編にしか登場していなかったキャラクターも本編に絡むようになる。
長編が続いてももたれない、まるでのどごしつるつるの冷や麦のような文体のおかげで次から次へとおかわりの手が伸びてしまい『天使の群れの導く処』まであっという間だった。

総じてバチカンをめぐる謀略サスペンス色が濃くなっていく中、『ジェヴォーダンの鐘』は純粋な奇跡調査のエピソードとなっている。
小さな町の教会で起きた奇跡の話だが、長編一冊にするだけのフィールドワーク、異端の聖書解釈にまで話は及び着地点も良い。何といっても推しの説教を聞ける。これほど望むことがあるだろうか。
悩めるロベルトも帰ってくる。「シンフォニア 天使の囁き」や『原罪無き使徒達』以来生きやすくなった感のあるロベルトだが、もともと昔ながらのカトリシズムに忠実な人なのだ。自分は不信心だと言いながら、彼は神の愛を求めてやまないようにも思える。


私はシリーズ後半の長編ではこの巻と『楽園の十字架』が好きだ。
平賀が「あなたを死なせたくない」なのに対してロベルトは「あなたとなら死んでもいい」で、その実「あなたと生きられてよかった」だから胃もたれを起こした。のどごしつるつるの冷や麦と喩えたのは撤回する。
というかこのシリーズ、主役が死なないので比較的安心して読んでいられるが、事実上心中しているし、片割れを看取っているし、死の間際のゆるしの秘跡を行っているし、破門されるとしても一緒だと思っているし、遺言を聞かせているし、死に至る病にかかる部屋から同じ香水をつけてでてきたりするし、何なんだ……?


短編では、小説としての面白さで「ゾンビ殺人事件」を推したい。
何十体ものゾンビが発掘される奇妙な事件を捜査する、フィオナの奇抜な行動といったら! 『アダムの誘惑』の名演技といい輝いている。もう大好き。私も蜘蛛の巣着る。顔タイプはどこへ……


去年からカトリックのことも自主的に勉強しているのだが、バチカン奇跡調査官にもカトリックの時事ネタがばんばん入っているので、時間ができたら教皇フランシスコの回勅の本を読みたいと思っている。
年内は日本語ミサの日に休みがないため来年の目標はそれにしたい。