山口雅也「ミステリーDISCを聴こう」

「おお……こ、これは……」
今まで見たこともないようなレコード。きっとレアな一品なのだろう。しかし、あまりにマイナーなブツではある……。
「こんなもの、誰が買うんだ?」男は苦々しげに心の中で呟く。
だが一瞬ののちに、はっとして、
「あ、俺が買うんだ……」
                                 (9p)

書き出しが素敵な評論集。後半からはミステリーの作中に出てきた音楽の紹介や考察もあります。「スウィングジャーナル」連載だったこともあり、ジャズが多いですね。

気になったディスク

■ゴブリン

ベスト&ライヴ

ベスト&ライヴ

確か、雑誌の「ミステリーズ! vol.1」で綾辻行人も話題にしてた。真夜中の怖すぎるドライブのお供だとか。
■ハーマン
Torn Curtain

Torn Curtain

Amazonによると、ホルン16本!の演奏があるとか。元ホルン奏者として、「私、気になります」
■「死刑台のエレベーター」のサントラ
死刑台のエレベーター[完全版]

死刑台のエレベーター[完全版]

マイルス・デイヴィスがラッシュを見ながら作ったという。すげー。
タイタニック号 最後の音楽
沈みゆくタイタニック号で、音楽隊が最後まで演奏していたというあのシーン。大好きです。こんな考察があるとは知りませんでした。
若竹七海の本もメモ。

これは使える!

小説中のジャズの使われ方を大雑把に分けると、だいたい次の4つのケースに分類できる。
・時代・風俗を表す指標……時代ミステリーなどで、その作品の時代設定に合った当時のヒット曲やバンドが出てくる例。時代考証的な使われ方。
・登場人物のキャラクター等を代弁……その人物の性格、世代背景、思考、心情(心理状態)などが、聴いている音楽でわかってしまう。
・シチュエーションや雰囲気づくりの補助……ラヴ・シーンのBGMにバラードが流れていたというような不埒な例。
・レトリック、その他……"ドリス・デイみたいな(明るい)娘"といったような直喩や暗喩のたぐい。
                   (378-379p)

ジャズじゃなくても使えますね。
中井も以前このような分類を試みたことがありますが、時代考証は見落としていました。