ピーター・トレメイン「サクソンの司教冠」

サクソンの司教冠 (創元推理文庫)

サクソンの司教冠 (創元推理文庫)

ウィトビア教会会議の後、ローマに渡ったフィデルマとエイダルフが今度はカンタベリー大司教指名者殺人事件の解決を依頼される話。
ミステリ的な見どころは特に大きくないが、フィデルマの信仰に基づく捜査の姿勢と大団円主義のエンタメは面白かったです。

フィデルマのエイダルフへの親愛と、法律家・修道女(≒探偵)として引き返せない年齢まで生きてしまった自身との葛藤はエンタメ要素として書かれているのだけど、ある地点での岐路に立つ探偵の、女性版モデルとも考えられます。
結局は探偵がどう生きていたいのかなんだろうけど……。