相沢沙呼「午前零時のサンドリヨン」

午前零時のサンドリヨン (創元推理文庫)

午前零時のサンドリヨン (創元推理文庫)

本来の楽しみ方からは大きく外れていることを承知で書きますが、こんなに痛々しい名探偵の話は久しぶりに読みました……。

一本目の短編からして、「探偵役への期待」がいっぱいで地味にいたたまれない。
酉野初がマジックだけを根拠に"魔法"を期待され、自らもその役割を背負おうとするのがなんかもう痛々しい。
特別(に思える)ものを見せられる人に、期待をするのはとてもよく分かるから。


期待と戦える人間だけが名探偵ではないし、背負える人間が探偵であるとは限らないし、探偵が全部背負える訳ではないと思いました。