名探偵

相沢沙呼「午前零時のサンドリヨン」

午前零時のサンドリヨン (創元推理文庫)作者: 相沢沙呼出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2012/10/21メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 106回この商品を含むブログ (12件) を見る本来の楽しみ方からは大きく外れていることを承知で書きますが、こんなに痛…

ピーター・トレメイン「死をもちて赦されん」

楽しかったー! ウィトビア教会会議を舞台にしたミステリで、宗教対立ありオカルトあり探険あり衒学趣味ありラブコメありと古典みたいな要素も盛りだくさん。 頭がよくて感情豊かな女探偵が好きな人にもおすすめです。 ミステリとしての無駄のなさは短編の方…

有栖川有栖「江神二郎の洞察」

概要――「月光ゲーム」の総決算 言うまでもなく、本書は江神シリーズの短編を収め、大小の謎をそれに似つかわしく、あるいはその大きさを飛び越えるロジックで裁く傑作短編集です。 同時にアリスと江神さんの出逢いから一年間を追うことで、アリスの「名探偵…

探偵の精神的負債について(問題編)

探偵の精神的ハンディキャップとは -有栖川有栖の理論より 「名探偵の哀しみ」はかなり前から扱っていたテーマだが、この頃立ち上げた探偵アイデンティティ論にも対応しているように思われた。 有栖川有栖は名探偵の定型のひとつにハンディキャップを挙げて…

麻耶雄嵩の探偵観

かく語りき 麻耶雄嵩は私が忘れがたい衝撃を受け、その感性に刺激され続けたいと思う作家である。中でも彼の描く探偵像や、探偵-助手の関係性実験は私に多くの影響を与えている。 そこで、これまでに単行本として発刊された麻耶雄嵩の著作から(雑誌連載の短…

プロットが先か探偵が先か -探偵アイデンティティ論

本格ミステリとキャラ読みについて 昨晩、Twitterでミステリのキャラ読みについて議論されていた。 それを受けて書いた自分の意見を、以下にまとめ直す。 はじめに -人称(視点)の区別とキャラクタ設定 ミステリに限って言えば、どの人称から描くかは、プロ…

ジャック・フットレル「思考機械の事件簿 1」

思考機械の事件簿 1 (創元推理文庫 176-1 シャーロック・ホームズのライヴァルたち)作者: ジャック・フットレル,宇野利泰出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 1977/07/15メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 5回この商品を含むブログ (9件) を見る探偵役の「…

北森鴻「桜宵」

桜宵 (講談社文庫)作者: 北森鴻出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/04/14メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログ (61件) を見る工藤の得体の知れなさがいい感じ。 背景の見えないマスターは探偵に向いている。

愛川晶「ベートスンの鐘楼 影の探偵と根津愛」

ベートスンの鐘楼 (カッパ・ノベルス)作者: 愛川晶出版社/メーカー: 光文社発売日: 2004/05/20メディア: 新書この商品を含むブログ (6件) を見るあれ、「網にかかった悪夢」を読んだのはいつだっけ。読了メモしたっけなー? まあいいか。 さて、「根津愛シリ…

黒崎緑「しゃべくり探偵の四季」

しゃべくり探偵の四季―ボケ・ホームズとツッコミ・ワトソンの新冒険 (創元推理文庫)作者: 黒崎緑出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2002/11メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 49回この商品を含むブログ (10件) を見る叙述形式の変化によって「名探偵」を…

騙しておくれ

先日芦辺拓「名探偵Z 不可能推理」の感想を書いたエントリの中で、私はBoowy「LIAR GIRL」の歌詞から そして上手に騙しておくれ という節を引用しました。深い意味があったわけではなく、単に洒落のつもりだったのですが、これはある意味で名探偵の本質を当…

名探偵って、なんて不気味な存在なんだろう

映画「容疑者Xの献身」を見て、ちょっと考えさせられました。倒叙だから余計に思うのかもしれない。 恐るべき頭脳で織り上げた(ということになっている)はずの犯罪を、どうしてあんなにあっさり解いてしまうのだろう。 確かに石神は失敗ばかりしていた。あ…

山口雅也「キッド・ピストルズの最低の帰還」

キッド・ピストルズの最低の帰還作者: 山口雅也出版社/メーカー: 光文社発売日: 2008/05/22メディア: 単行本 クリック: 22回この商品を含むブログ (26件) を見るああ、名探偵ってやっぱり好き! 実は井上夢人「風が吹いたら桶屋がもうかる」を読んでから、一…

山口雅也「キッド・ピストルズの最低の帰還」を読んでいます

キッド・ピストルズの最低の帰還作者: 山口雅也出版社/メーカー: 光文社発売日: 2008/05/22メディア: 単行本 クリック: 22回この商品を含むブログ (26件) を見る 「俺たちパンク族はもともと人権なんて無視されてるから、容疑者の人権なんぞ屁とも思わねえん…

アイザック・アシモフ「黒後家蜘蛛の会 1」

黒後家蜘蛛の会 1 (創元推理文庫 167-1)作者: アイザック・アシモフ,池央耿出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 1976/12/24メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 58回この商品を含むブログ (103件) を見るとにかくヘンリーが素敵。もーう「改心の笑い」の論理…

芦辺拓「裁判員法廷」

裁判員法廷作者: 芦辺拓出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/02メディア: 単行本 クリック: 11回この商品を含むブログ (40件) を見る昨日、芦辺拓を話題にしたのは伏線です。 「審理」について 「本格ミステリ07」で読んだときの感想があるので、参照に。…

好きな名探偵一覧

中井が個人的に好きな名探偵たち一覧。 ・江神二郎(有栖川有栖・「双頭の悪魔」など) ・中禅寺秋彦(京極夏彦・「姑獲鳥の夏」など) ・辰寅叔父さん(倉知淳「占い師はお昼寝中」より)・匠千暁(西澤保彦・「彼女が死んだ夜」など) ・高瀬千帆(同上) …

太田忠司「東京『失楽園』の謎」

東京『失楽園(エンジェル)』の謎 (ノン・ノベル)作者: 太田忠司出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 1997/04メディア: 新書 クリック: 2回この商品を含むブログ (4件) を見るこれ、良いです! 実際にはなかった火事、千鶴のパニックと赤い天使など、謎解きのロジ…

ドラマ「ガリレオ」第4話 (原作:東野圭吾)

今回は「探偵・湯川学」そのものにスポットをあてたようです。 ただ頭がよく才能があるだけの科学者と、常人には辿りつけない域にいながら、それを律することが出来る湯川。 湯川がどれほどの自制心をもって研究にあたっているのか(=生きているのか)を思…

ドラマ「ガリレオ」第三話 (原作:東野圭吾)

トリックは何か聞いたことのある感じでしたけど、ひとひねりのセメントが利いてましたね。 で、これが物語上のドラマも効果的に演出していましたし、何より今回の事件によって主人公は「湯川が見ているものは、刑事として(あるいは事件に関わる人間として)…

西澤保彦「黒の貴婦人」

黒の貴婦人作者: 西澤保彦出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2003/11メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (26件) を見る今回はキャラクターに重きを置いたのでしょうか? もちろんミステリとしても軽いながらにイケるんですけど。 初めてタカ…

提案

西澤保彦「匠千暁シリーズ」、ボンちゃんの実写キャスト候補として、TOKIOの松岡昌宏を挙げたい。あの兄貴肌とタフさを買う。 ただ、童顔だからな、あの人……

横山秀夫「第三の時効」

第三の時効 (集英社文庫)作者: 横山秀夫出版社/メーカー: 集英社発売日: 2006/03/17メディア: 文庫購入: 11人 クリック: 108回この商品を含むブログ (173件) を見る警察ものは綾辻行人「殺人方程式」くらいしか読んでいないので、表題作「第三の時効」のよう…

有栖川有栖「女王国の城」

女王国の城 (創元クライム・クラブ)作者: 有栖川有栖出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2007/09メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 60回この商品を含むブログ (247件) を見るありがとう、ありがとう15年。 思ってもいなかった論理を捻り出し、そこからの…

二階堂黎人「ユリ迷宮」

ユリ迷宮 (講談社文庫)作者: 二階堂黎人出版社/メーカー: 講談社発売日: 1998/03メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (8件) を見る蘭子さんがひたすら格好良い。 女探偵って「女性」性を押し出しているようなところがあって、好きなキャラは実…

今日は文化祭

事件は起こりません(あったら大変だよ)。 ・倉知淳「占い師はお昼寝中」 占い師はお昼寝中 (創元推理文庫)作者: 倉知淳出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2000/07メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含むブログ (26件) を見る「日常の謎」系短編集。…

太田忠司「伯林水晶の謎」

伯林水晶の謎 (ノン・ポシェット)作者: 太田忠司出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 1998/12/01メディア: 文庫この商品を含むブログ (6件) を見る意志はどうした、と自分に問いたい。何とでも言え、私は兄×妹が好きなんだ。 だってこの人、妹の彼氏に試練を出し…

メルカトルは好きで嫌い

私が始めて読んだ麻耶作品は「気分は名探偵」収録の短編「二つの凶器」です。気分は名探偵―犯人当てアンソロジー作者: 我孫子武丸,霧舎巧,貫井徳郎,法月綸太郎,有栖川有栖,麻耶雄嵩出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2006/05メディア: 単行本購入: 1人 クリ…

太田忠司「倫敦時計の謎」

倫敦時計の謎 (ノン・ポシェット)作者: 太田忠司出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 1998/04/01メディア: 文庫この商品を含むブログ (6件) を見るあるテーマの作品。ちょっと雰囲気が軽いけど。しかし霞田兄妹の関係性はなんでこんなに萌えるんだろう。フラグも…

一瞬だけ考えた。

名探偵法月綸太郎、実写キャストは松本潤とかどうだろう。 ……うん、無いな。