持論
以前Twitterでフォロワーさんとお話したことですが、北村薫や加納朋子を新本格における日常の謎の嚆矢とするなら、謎とは本来事件性のないところから観察によって「発見」するものであり、わざわざ探偵のところに持ち込まれたり異変として騒がれたりするもの…
名探偵の呪縛 (講談社文庫)作者: 東野圭吾出版社/メーカー: 講談社発売日: 1996/10/14メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 29回この商品を含むブログ (88件) を見る内容ではなくて、「文庫書き下ろし」という形態について思ったこと。 ハードカバーやノベルス…
ベートスンの鐘楼 (カッパ・ノベルス)作者: 愛川晶出版社/メーカー: 光文社発売日: 2004/05/20メディア: 新書この商品を含むブログ (6件) を見るあれ、「網にかかった悪夢」を読んだのはいつだっけ。読了メモしたっけなー? まあいいか。 さて、「根津愛シリ…
先日芦辺拓「名探偵Z 不可能推理」の感想を書いたエントリの中で、私はBoowy「LIAR GIRL」の歌詞から そして上手に騙しておくれ という節を引用しました。深い意味があったわけではなく、単に洒落のつもりだったのですが、これはある意味で名探偵の本質を当…
綾辻行人「緋色の囁き」、西澤保彦「スコッチ・ゲーム」、皆川博子「倒立する搭の殺人」…… 本格ミステリと女子校、とりわけ寄宿舎は、なぜか相性が良い。 女子校でなくとも、芦辺拓「時の密室」など、「少女性」をうまく利用したトリックも存在します。「狂…
映画「容疑者Xの献身」を見て、ちょっと考えさせられました。倒叙だから余計に思うのかもしれない。 恐るべき頭脳で織り上げた(ということになっている)はずの犯罪を、どうしてあんなにあっさり解いてしまうのだろう。 確かに石神は失敗ばかりしていた。あ…
ありえそうにないこと、馬鹿馬鹿しくてしかたないことを、俗に「漫画みたい」と言うことがあります。 しかしね皆さん、その「漫画みたい」なことが、人類史上どれだけ感動を生んだと思いますか。 「どんな奴らが来てるか知らないけど 最後がお前らで良かった…
最近読んだ本のことではありませんが(本当です)、どうしても言っておきたいことがある。 ミステリでたびたび登場する、同性愛の扱いについて。 「見えない人」ではないんです。 意外な人間関係、意外な犯人、意外な動機だと思っているのか、よく「どうだ」…
・エラリー・クイーン「ローマ帽子の謎」 ローマ帽子の謎 (創元推理文庫 104-5)作者: エラリー・クイーン,井上勇出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 1960/12/02メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (26件) を見る・アントニー・バー…
江戸川コナンは何ゆえ「推理マニア」を自称するのに「ホームズ、ホームズ」しか言わないのだろう。 私に言わせれば、ホームズは確かに格好いい台詞も言うし、良いトリックもある(「赤毛連盟」なんか好きだった)けど、「どこに手がかりがあったっつーんだよ…
余談ですが、ミステリ素人(まったく読まない〜キャラ読み等のライトなファンまで)とミステリマニア(本当に「ミステリ」が好きな人)の分かれ目は、「芦辺拓を読んでいるか」にあると思う。 法月とか山口雅也あたりだと、有名であるがゆえに広く読まれる。…
メルカトルと美袋のための殺人 (講談社文庫)作者: 麻耶雄嵩出版社/メーカー: 講談社発売日: 2000/08メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 14回この商品を含むブログ (36件) を見るぱらぱら読んでいたら、ドキッとする一文を発見。 (「タキシード姿は銘探偵の…
ルパンが「怪盗はビジネス」と言っているのが引っ掛かる。 怪盗は趣味でやるのがベストだと思っているので。 だって、生活のためにやってるんじゃ格好悪いでしょう?
そりゃ、はじめは面白いと思っていた 多分、私が初めて触れた推理漫画だったと思う。 その頃は「推理って何ぞや」という程度で、「話を読む」ために読んでいた。それだけで充分面白かったし、今読んでも構成やエンターテイメント性の質の高さは評価している…
釈迦に説法とは知りつつ、一度自分の中での整理のために。 「推理小説を読んでみたいんだけど」ときかれると、私は必ずガチガチの本格を挙げます。 もっと言うなら、「犯人探しがメインで、館などのガジェットを用いていて、狂人の論理も出てこず、全体とし…
少なくとも現代において、外見やしぐさに関しては、一般に女より男のほうが窮屈ですよね。 例えば、女性はジーンズやスタジャンを着ていても何も言われない。「ボーイッシュ」と認識されるだけだったり、「格好良い」と言われる事もある。 ところが男性はそ…
どんなジャンルであろうと、私は「リアリティの追求」よりも「その世界がどういうもので、どのような人物がどう考え、どう動くのか」がしっかり書けているか」が重要だと思っている。 特にミステリなんて、その極端に位置するようなジャンルなのだから、余計…
ある閉ざされた雪の山荘で (講談社文庫)作者: 東野圭吾出版社/メーカー: 講談社発売日: 1996/01/11メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 55回この商品を含むブログ (129件) を見る序盤からメタっぽさ全開。傍点箇所には驚いたけど、ロジックの強度から見ると、…
今回は「探偵・湯川学」そのものにスポットをあてたようです。 ただ頭がよく才能があるだけの科学者と、常人には辿りつけない域にいながら、それを律することが出来る湯川。 湯川がどれほどの自制心をもって研究にあたっているのか(=生きているのか)を思…
トリプルプレイ助悪郎 (講談社ノベルス)作者: 西尾維新,のがるわこ出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/08/07メディア: 新書 クリック: 14回この商品を含むブログ (78件) を見るかなーりアンフェア、しかし面白かった…… 西尾って、ミステリ形式にするときも…
「依存」を読んでしまうと、それについて考えずにいられません。 10行で済む事を13ページかけて説明するKさんとかいるし。
ラストに綸太郎が言った「夢を見ること」というのは、作者のミステリに対する思いでしょうか。
「囁きシリーズ」には特に顕著ですが、綾辻は文章による「空気・雰囲気の表現」がめちゃめちゃ上手い。 個人的には「迷路館」の、あの閉塞感あたりが好き。
「密閉教室」を再読して、ひとつ。 法月が佐藤友哉「フリッカー式」を絶賛したということを思い出しました。佐藤の本の著者紹介だったか、「羨望した」とまで書いている所もありましたよね。 そこで私は思いました。もしかすると法月が書きたい理想の型が「…
ノーカット版 密閉教室 (講談社BOX)作者: 法月綸太郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/02/02メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (29件) を見る再読という事が信じられないくらいの衝撃でした。 ↑そのまま帯に出来そうだ。感想はこれに…