西澤保彦「ぬいぐるみ警部の帰還」

ぬいぐるみ警部の帰還

ぬいぐるみ警部の帰還

美貌にしてぬいぐるみ大好きの音無警部シリーズ、特に良かったのは「誘拐の裏手」ですかね。単純に見えた事件の現場に残された七本のウィスキー瓶からあるトリックを炙り出す、ロジックの飛躍(ちゃんと証拠と関連あり)も見事な良作でした。

西澤保彦はこういった、机上の空論をそのまま根拠としてさらに空論を重ねることなく、現場に存在する証拠を持ち出し照らし合わせながら飛躍させる運び方が優れていた作家だと思います。