連城三紀彦「たそがれ色の微笑」

たそがれ色の微笑 (新潮文庫)

たそがれ色の微笑 (新潮文庫)

白蘭が傑作。
連城の恋愛ものと芸/職人の業を描いた作品群の、本当にいいところを抽出していて、粋であるばかりか汚いものもくだらないものも愚かなものも、すべてあの文章に愛おしく包んでいる。ラスト一文が悲しく、またすぐに冒頭から読み返したくなる。
これがあるからノンミステリでも辞められない。


婦人、中学生、漫才師に子狐(!)まで淡い色をした幸福とそれが含む残酷さを書かれいおり、特に「風の矢」の読み始めた時に「ああまた自分に子どもがいたら読ませたいものに出会ってしまった……」と思った嬉しさと虚しさよ。いねえよ。