連城三紀彦「隠れ菊」

隠れ菊〈上〉 (新潮文庫)

隠れ菊〈上〉 (新潮文庫)

隠れ菊〈下〉 (新潮文庫)

隠れ菊〈下〉 (新潮文庫)

恋愛に始まり商売と取引、連城お得意の嘘とハッタリの応酬を経て家族小説と収まる長編。

連城のコン・ゲームものの長編では「美の神たちの叛乱」*1についで着地点のおさまりが良い小説ではないでしょうか。
嘘とハッタリを用いすぎて広げた風呂敷の大きさばかりが目立つものよりも、家庭に始まり家庭に終わるという点でスマートにまとまっていると思います。

*1:「美の神たちの叛乱」は何が嘘か本当か分からなくなった終焉こそが目的なので、混乱はそのための手段だとすれば終わりは美しい