ミステリー文学資料館編「恋愛ミステリー傑作選 恋は罪つくり」

恋は罪つくり (光文社文庫)

恋は罪つくり (光文社文庫)

日本文学史における恋愛ミステリ、またそれを得意とする作家の短編を集めたアンソロジー
タイトルはアレだが目次を見れば、小栗虫太郎笹沢左保本格ミステリ作家、夢野久作の幻想ミステリ「死後の恋」、90年代以降の女性作家の作品まで幅広く収録されている。個人的には連城三紀彦の作品から「花虐の賦」が選ばれていることに注目したい。
超おすすめです。
また千街晶之による東西ミステリ発展、時代性と比較しながら恋愛ミステリの文学史を概観した解説(解題)が圧巻。ミステリが含むことのできる文芸性、名探偵と恋愛の関係なども説明されていてかなり面白いです。


それからもう一つ収録作の中からおすすめしたいのが「方子と末起」ですね。女学生と、彼女と愛しあう療養中のお姉さまの書簡形式で書かれる密室殺人事件です。不思議の国のアリスを引用したり、少女の窮地、エス関係、家庭のゴタゴタと豊富なガジェット、これで作者が小栗虫太郎という驚きの短編。何回も読んでますしトリック自体は簡単なのですが、エス好きな人は激しくおすすめです。