命日に寄せて

12月25日は佐々木丸美の命日でもあります。
雪の季節に、なんて出来すぎのようですけれど。
忘れな草」持ってきてるんだけど、この人の小説は読みやすさの問題ではなくセンテンスひとつひとつを噛みしめるように読むからそんなに進んでない。


初めて読んだのは大学一年生の時だから5年前になります。
Amazonのおすすめ欄に創元推理文庫の書影が出ていて、それで存在を知った。ネットの時代になってようやく出会ったんだよね。
ミステリというよりは少女小説として読んでいます。しかし、非本格作品であっても、ある種のミステリに見られるゴシシズムや死生観、SF論理の整合性なんかは通じるところが多い気がします。
そういうのを持ってミステリ書いてたっていうのが正しいのかもしれない。あんなガジェットが本格ミステリでなくて何なんだか。


私は「これは万人に読まれるべき!」というのは宗教だと考えているので、好きな本は「この人に読んでもらいたい」「自分の好きなものだから友人に知ってほしい」「こういうの好きだったら読んでみて」というものがあれば十分だと思っているのですが、丸美の小説は少女小説が好きなら読んでほしいし、クローズドサークルや館もの、あるいは特殊心理を用いたミステリが好きなら読んでほしいし、雪国の人にこそ読んでほしい。
丸美が書く雪は少女趣味の柔らかな雪ではない。それにしか生きられない初恋であり、命をかけた最後の恋に降るのだと思う。


復刊に反対だったっていうのは引っかかるところでもあるけど、感傷や懐古趣味ではなく今の気持ちで読むなら許してもらえるだろうか。駄目だって言っても、たぶん新刊があったとしてきっと同じ気持ちで読むから。


ちなみに一番好きなキャラクターは良子のおばさんです。
私にとっての丸美そのものです。