連城三紀彦「褐色の祭り」

褐色の祭り〈上〉

褐色の祭り〈上〉

上巻は犯罪者であった亡き夫の半生を辿る妻の、下巻はその妻の手により、父親とまったく同じ命を生きることを宿命づけられた少年の物語。
連城好みのパターンのひとつではありますが、終盤までその生き方や理由が明かされないミステリは真相のショックこそあれ読んでいてしんどいとは思わないんですよ(読み終えてから打ちのめされていることは多数)。
しかしこの作品では、少年がそうやって生きることを受け入れてしまっていることもすべて時系列に合わせ書かれており、グレートマザーのイメージもあって特に下巻がへヴィでした……。


一方で、人生の着地点というかどうやって自分が生きて死ぬのかを知っているっていうのは、ある意味すごく安心できる手の中なのだろうかと思う。