LAMP IN TERRENに突然ハマった人の話

LAMP IN TERREN、略称テレン。
長崎県出身4人組、26〜27歳にして結成12年となるバンド。すべての作詞曲をボーカル・松本大が手がけ、代表曲に「緑閃光」「ボイド」などがある。


……といったことを全く知らず、そもそも邦ロックというジャンルをあまり熱心に聴いてすらいなかった人物が如何にして4ヶ月間を駆け抜けていったかの、これは記録である。
先に言っておくけれど音楽的に細かい話はあまりしていません。

出逢い

話は2018年11月20日に遡る。
日頃主にヴィジュアル系を聴いている私の、その当時他ジャンルで唯一通っていたクアイフというバンドのライブだった。
出演者は3組。CIVILIANはさすがに名前を知っていたけど、もう1組は聞いたこともないバンド。
会場に着くと1組目はすでにステージにセットが組まれていて、どうやら目当てのクアイフらしいと分かったので前の方に行く。
この日のクアイフはインディーズ時代の曲を主役にした構成で、彼女らの音楽にノスタルジックな名古屋系の匂いを求めている私にはとても嬉しいセットリストだった。アップテンポの曲でも聴かせるような演奏で、おそらく対バン相手を考慮してそうしていたのではないかと推測される。
そして今から思えばそこからの歳月に至るまでの伏線であり、秒読みでもあった。


クアイフの出番の後、満足していったん下がりつつ次のバンドのセッティングを観察していた。なんでこのジャンルはいつでもカーテンフルオープンなんだろう?
そのバンドの中に目を引く人がいた。
立ち位置からしてボーカル。長身で、何かその人の周りだけ、流れている時間が違っていた。
いや、彼こそがこの時間の針の中心であるようだった。「私きっとこの人のことが好きだ」と直感した。まだ声を聴いてすらいないのに。


それがLAMP IN TERRENだった。
1曲目がまた良かった。低音域から始まり、徐々に広がりながら歌を聴かせる曲で、それでいてダンサブルな要素もあり重くならずに美しい、とても好きな感じの曲だった。後からWater Lilyという曲だと知った。今でも一番好き。
フロアのセンターやや上手寄りにいた私はボーカルから目を離せないまま、2曲目が終わる頃には「このバンドはしっかり見たい、私もあの熱狂の中に入りたい」と思い前方に足を踏み出した。


すると、ステージの下手から猛然とセンターまで突っ込んできたベーシストの姿が初めて目に入った。
輝く笑顔で、まるで主旋律を歌うように弾き、歌ものだろうとバラードだろうと暴れ狂っていて、でも熱くて安心感のある音。
あと顔がすごく好み。DIR EN GREYのToshiyaさんに似ている(言い忘れていたが私はToshiya虜である)。
「このベース魔物だ」
そう思った時には、既に心を掴まれていた。
終演後に一番最近のアルバムを購入して、ちゃっかりサインまでもらっていた。

間奏

それからの私がどうしていたかというと、12月に発売されたアルバム『The Naked Blues』を買って聴く以外にこれといった行動はしていなかった。石投げないで。J1残留争いに集中していたし、残留決まってからも気が抜けて何もできなかったし、移籍シーズンとクリスマスと年末年始の大繁忙期で毎年使い物にならないんだこの時期は。


とはいえアルバムはよく聴いた。
メロディがはっきりしていて、同期も使って分厚い音にしているけれど、何よりも歌を大事にしていることが分かる。
どことなく90年代のバンドの匂いがして、直接影響は受けていないと思うけれど名古屋系っぽい感じもする。
思春期的な繊細さと強さを宿した歌詞も好きだった。
貫禄もあるし同年代くらいかと思っていたら予想よりだいぶ若かった(ちょっとショック)。

転機

運命の車輪が動いたのは2月である。
Jリーグの開幕節、グランパスの最初のカードはアウェイ鳥栖、J2アルビレックス新潟はアウェイ京都。ならば京都に行けないかとギリギリまで考えていたのだが家庭の事情により頓挫。名古屋から動けないことが決まった私は怒りに任せてテレンSPADE BOX公演のチケットを取った。


この時、なぜか手紙を書こうと思った。
あの魔物みたいなベーシストを褒めちぎりたくなったのだ。
ライブ前に別件で待ち合わせた友人と「今日このバンドのライブに行く」「こういうところが好き」と話しながら書くことをまとめて、どうにか開場時刻までに書き終えたのに間違えてロッカーに閉じ込めた(終演後にスタッフさんに預けた)。


初めてのワンマンで緊張していたが、定刻になると開演SEとしてショパン夜想曲が流れ始め、静まり返る客と反対に妙なホーム感を覚える私。こういうのヴィジュアル系で見た。


セットリストは大きく前半・後半に分けられ、前半はダウナー系の聴かせる曲、後半はライブ向きの盛り上がる曲をまとめていた。あの重い曲満載の『The Naked Blues』をワンマンの尺でどう表現するのかと気になっていたが、この構成はシンプルなようでどちらの味も損なわずしっかりと表現できる。
亡霊と影、花と詩人、それからinnocenceも良かった。ミラーボールが好きだから、地球儀で回り始めた時は嬉しかった。


ただ名古屋は前回のツアーよりもキャパが下がってしまっていたらしく、それはメンバーも気にしていた。
MCで松本大は言った。
「こんちくしょうという気持ちもあったけれど、後ろの方までたくさん入って来てくれていて本当に嬉しい。このキャパだから出せるものを見せたい」
このすべてを口に出来るのは素晴らしいことだと思う。
またこうも言っていた。
「友達に(音楽で)てっぺん取った奴がいて、俺はそいつを殺したいと思っているんだけど」
最高だなこの人。このバンドでてっぺんを取りたい、そこまで進んでいきたいと語る人が私は好きだ。
このMCとBABY STEPを聴いて、改めて大くんのことを好きになった。

そして事件

それ以来すっかりハマってしまったのだが、あいにく名古屋でのライブは予定されていない。
ツアーの大阪公演は名古屋の前日だったから終わってしまっているし、それ以外は遠い、ファイナルの恵比寿リキッドルーム公演が行われる3月16日はアルビのアウェイ横浜FC戦。すでに開幕京都戦を棒に振ってしまっているから、数少ない近場アウェイを悪天候や体調不良以外で削りたくない。
諦めよう。キックオフに遅れないよう前乗りして、横浜にだけ行って帰ろう。


……と思っていたのだけど、前日ちょっとした事件が起こり気がついたら私は東京行きの新幹線に乗っていた。
混乱したまま新幹線のテーブルでひたすら紙に頭の中の言葉を書き出し、ホテルを取り直して駅前の本屋でレターセットを買い、ひとり部屋で再び手紙を書いた。一体私は何をしようとしているのだろう。まだチケットも取っていないのに。


翌日、ニッパツ三ツ沢球技場で無事に応援している選手の出場とアルビの勝利を見届けると、私は一目散に横浜駅に戻った。
横浜駅からリキッドまでは遠いと思っていたのに、時刻表を検索したらなんと電車1本。しかも30分ほどで着くから充分ハシゴできる。
ユニフォームを着たまま恵比寿の街を走り、当日券でリキッドルームの上手へ飛び込んだ。開演10分前のことである。


そう、ツアーが始まってからベースの立ち位置が上手に変わっていた。だからフロアの上手から入場する構造のリキッドで、到着が遅くても私は中原健仁の前にいられた。
一般的にロックバンドのベーシストは下手にいることが多いけれど、私はBUCK-TICKやLaputaのJunji(現C4)を見てベースに興味を持ったから好きなベーシストは上手にいるべきだと思っている。だいたい、オーケストラのコントラバスは上手にいる。


そんな大忙しのスケジュールだったけど、本当に良いライブだった。
at(liberty)も聴けたし、「皆が自分のことを愛して前に進んでいけるように、今、背中を押します」と言って歌ったBABY STEPはここ何年かで見たライブでも指折りの名演。
最後に日比谷野音でライブを行うことを告知。


その後

半月後、まだ一向に名古屋のライブの予定がないテレンのために今度は岐阜行きの電車に乗っていた。
仕事が終わった後に出順非公開18時半開演のイベントに向かうべく、18時半名古屋発の電車の中に。いわゆる定時ダッシュ
3組だから主催バンドは最後として、トッパーだったらまず間に合わないか、1曲聴けたらいい方。
結果的にテレンは二番手だったので最初から最後まで聴けたけれど、我ながらよく行ったと思う……。



以上が、私がLAMP IN TERRENに突然ハマってから過ごした11月〜3月までの話である。
けど、話のほとんどが2月24日からの1ヶ月半に集中しているのがどうかしている。
次にライブに行くとすればいつだろう? 楽しみにしながらその日を待っている。