紙上ユキ『少女手帖』

久しぶりに王道少女小説を読みました。面白かったー。
「ふつう」でいるために我慢しながら学校生活を送る主人公・ひなたが、別世界の住人のような美しい同級生の弱点を知ってしまったことから動いていく物語。
同級生、男友達、姉、姉の親友というべき老婦人と、少しずつひなたの世界は広がり始めます。そうしていく中で、生きていく上で隠しているものと譲れないもの、そして弱さを知っていくことで、少女たちは新しい居場所を手探りで探していくのです。


こんなに王道かつ繊細で静かで押し付けがましくなく、誰もが何かを隠しながらその人の数だけ「ふつう」を生きている自己一致の物語、少女小説は貴重だと思います。いい買い物をしました。
静かに声を抑えているような文体がまた良いですね。作中の喫茶店に行ってみたくなります。